
きちみ製麺の守り神。不思議なキツネの伝説

「つりがね庵」は、築300年の茅葺き屋根の武家屋敷で営む白石温麺(しろいしうーめん)の専門店です。2025年春にリニューアルオープンし、工場直送の手延べうーめんを提供しています。
この建物の敷地内には、小さなお稲荷さまの祠があります。
実はこの祠には、きちみ製麺を営む吉見家に代々語り継がれてきた伝説があるのです。
江戸時代のある寒い夜、心優しいお侍と一匹のキツネの物語
時は江戸時代。ある冬の夜、白石城での勤めを終えたお侍さんが、いつもより遅く帰路についていました。蔵王山から吹き下ろす冷たい風に、みぞれが混じる寒い夜のことです。

土手を歩いていると、暗い道端で震えている一匹のキツネを見つけました。体は熱く、とても苦しそうです。お侍さんは家に連れて帰って手当をしてやろうと抱き上げ、土間に藁を敷いてそっと寝かせました。
5、6日間の看病でキツネはすっかり元気になりました。元気になったキツネは普段は姿を見せませんでしたが、子どもたちが遊んでいるときに縁の下で休んでいるのを見かけることがありました。助けたキツネは、いつの間にかこの家に住み着いたのです。
このやさしいお侍さんこそが、きちみ製麺を営む吉見家のご先祖でした。
三代後、夢に現れたキツネからの恩返し
それから時が流れ、キツネを助けたお侍さんはすでに亡くなり、家は孫の代になっていました。ある晩のこと、孫の夢にキツネが現れ語りかけてきました。
「私は戸沢の萬蔵稲荷のキツネです。昔、病気で苦しんでいた時に助けていただき、ありがとうございました。実はあの時、お腹に赤ちゃんがいたのですが、おかげでその子も無事に生むことができました。
この家にいつまでもいたかったのですが、だんだん世の中が賑やかになってきて、もう私たちが住むところではなくなってしまいました。今度は山奥へ帰るので、お礼に短刀を置いていきます」
三晩も同じ夢を見たので、半信半疑ながらキツネがいた縁の下を調べてみると、本当に短刀が一振り置いてありました。

家宝の短刀「備前長船永光」
吉見家には、そのキツネがお礼に置いていったと伝わるこの短刀が今も大切に保存されています。「備前長船永光」という立派な短刀で、昔は近所の人が「元気が出ないから、刀をさわらせてほしい」と頼みに来ることもあったそうです。
今も連綿と続く、お稲荷さまときちみ製麺の深い縁

江戸時代の一つの善行から始まったお稲荷さまとのご縁は、今もきちみ製麺に息づいています。
今も敷地内にある祠には毎日できたての白石温麺をお供えし、きちみ製麺とお客様を守っていただけるよう、心を込めてお祈りしています。毎年お正月の仕事始めには全社員で参拝し、一年の無事と商売繁盛をお祈りするのが恒例です。
また、物語に出てくる「萬蔵稲荷神社(白石市小原)」、さらに日本三大稲荷神社の一つである「竹駒神社(岩沼市稲荷町)」には、つりがね印の白石温麺を御神撰として今も毎年納めさせていただいています。
伝説にちなんだ「おいなりさん」をつりがね庵で味わって

三角いなり寿司(400円・数量限定)
つりがね庵では、キツネの伝説にちなんだ特別なメニューもご用意しています。それが、白石産ササニシキを使った「三角いなり寿司」。稲荷神の使いとされる「きつねの耳」をかたどった縁起のよいひと品です。
手延べうーめんと一緒にやさしい出汁が染み込んだおいなりさんを味わいながら、伝説に思いを馳せてみてください。
つりがね庵と合わせて楽しむ、キツネゆかりの観光スポット
つりがね庵にお越しの際は、今も白石市に現存する萬蔵稲荷神社や蔵王キツネ村など、ゆかりのスポットにもぜひ足を延ばしてみてください。
【萬蔵稲荷神社】

萬蔵稲荷神社(画像:しろいし旅カタログより)
物語に登場する「萬蔵稲荷神社」は、白石市小原の山間部にあり、百数十基もの朱塗りの鳥居が並ぶ神秘的な神社です。参道を数分歩くと、山の傾斜に造られた社殿が厳かに迎えてくれます。
商売繁盛や五穀豊穣、良縁子授けを願って全国から多くの参拝客が訪れる由緒ある神社で、近年は縁結びのパワースポットとしても人気を集めています。
住所:宮城県白石市小原字馬頭山6
アクセス:白石ICおよび東北新幹線白石蔵王駅から車で約40分
駐車場:あり
公式Instagram
【蔵王キツネ村】

蔵王キツネ村の可愛いキツネたち(画像:しろいし旅カタログより)
「蔵王キツネ村」は、日本で唯一キツネと触れ合える施設です。園内には100頭以上のキツネが放し飼いにされ、キタキツネや銀ギツネ、ホッキョクギツネなど6種類のキツネたちが暮らしています。
餌やり体験や子ギツネの抱っこ体験(期間限定)が人気で、特に冬毛に変わる時期は、雪の中を元気に走り回るキツネたちの姿を見ることができます。
住所:宮城県白石市福岡八宮字川原子11-3
アクセス:白石ICおよび東北新幹線白石蔵王駅から車で約30分
営業時間:9:00~17:00(最終入場16:30)
公式サイト
秋は白石で、伝説のキツネに想いを馳せながらうーめんを。

秋の白石にお越しの際は、ぜひつりがね庵で築300年の武家屋敷とともに、工場直送の手延べうーめんをご堪能ください。キツネの恩返しにちなんだ三角いなり寿司もお忘れなく。
お食事の後は、物語の舞台となった萬蔵稲荷神社への参拝や、蔵王キツネ村での触れ合い体験も。キツネとのご縁に思いを馳せながら、思い出に残る白石の一日をお過ごしいただければと思います。
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白石温麺専門店「つりがね庵(旧光庵)」
平日:11:00~14:30(ラストオーダー14:15)
土日祝日:11:00~15:00(ラストオーダー14:30)
定休日:第2・第3火曜日、毎週木曜日 ※臨時休業日あり
住所:宮城県白石市本町46

